象のしっぽを追っかける

Tの化石採集日記

限定公開への移行について

 このブログは私が数年にわたり山を歩き回り、化石の産出場所を特定し、どのようにその場所を見つけ、そこからどんなものが出てきて、どんな形状なのかを記録したものでありました。

 産出ポイントはある程度試掘し、どんなものが含まれるかを確認した時点で留保してある。私の関心はこの地の全体像がどうなっているのかであり、それを探る中でも化石は出てくるからである。一昨年あたりから私の回っているポイントが掘られているのを見かけるようになった。私と同じように探して回っている人がいる人がいるのだと思って見ていた。温存してあったラインの一番よさそうなところを掘ってある。しかも結構な掘り方だ。その時点で気が付けばよかったのだが、ここにきて留保してあったポイントが次々と掘られ、そのうちの一つは巨大な穴となっていた。私が掘った時点では少し掘ってあって、ここここだなとわかるくらいだったと思う。出てきて持ち帰らなかったものを目印に並べて置いたりもした。探す気がある人であれば容易に見つけられるポイントではあるのだが掘り方が尋常ではない。まさに根こそぎである。掘り出した石はすべて斜面に捨ててあったのだが、ひとつだけ私が形状を検証しレポートにまとめた貝類の化石だけ目に付くところに置いてあった。これが私の書いたブログの結果であると確信するに至った。

 掘った巨大な穴には大きな石が大量に積み上げられ土をかぶし何処から運んできたのか大きな木や枝でふさがれていた。ここに来る人であれば一目でわかるし私がまたここに戻ってくることも分かっていただろうが…。次もまた同じことをするだろうか?

 しかもこの巨大な穴は極めて短期間のうちに一気に掘られているように見える。多分数日。斜面に捨てた石には本当にもう何も入ってないと思って捨てたのか?通常、掘りだした石を処理するにはそれなりの時間を要する。化石の入り方によってはによっては細かく割っていく必要があるからだ。掘り出した石を全部持ち帰り家で徹底的に細かく割ってみたいと思うことさえある。5ミリほどの化石が重要なものであることもあるのだ。そのような意識で露頭に臨むときこのような掘り方になるのは考えられない。露頭に手を付けることをせず露頭から掘り出された転石だけを丁寧に割って見事な成果を出す人もいるが、いずれにしても彼には関係のないことだろう。

 私は彼を見たように思う。産地下の道路沿いに車を止めて準備をしているときに化石採集?と思しき人物が歩いていくのを見た。目が合わなかったので声はかけなかったのだが…。推測である。そういえば私はご丁寧に自分の車もブログに載せていた。

 

 私が化石採集を再開してH沢の巨大な溝を見た時に思ったのはここから出てきた化石はどこに行けば見れるのか?ということだ。もちろんそれは大船渡博物館でも岩手県立博物館でも大学の研究室でもない。そんな場所は存在しない。公開されることなく個人の良識に託され、正確な産地情報がないまま流出したものはやがて消えていく可能性が高い。三葉虫以外の腕足、サンゴ、巻貝、他の化石に至ってはどれだけ残されているだろうか?それぞれ数種類あるはずでほかの層と違う可能性もある。そこにどんな化石が含まれていたかはもうわからないということだ。

 

 化石の産出ポイントは掘りだしやすい場所ばかりではない。容易に掘れ、適度に風化したポイントは限られた区間であり極めて貴重である。表層の風化面を掘ってしまえば硬い石に変わり化石の掘りだしも困難になるところもある。そのため露頭を掘る人はそこに何が含まれるのかに注意を払い、自分が掘りだした化石に責任を持つ必要があると思うのだ。三葉虫だけがそこに含まれる化石ではない。

 私はこのブログの中でそれぞれの露頭から出てきたものを出来るだけ載せてきたつもりだ。多種多様な腕足類、サンゴ類、巻貝、スリッパサンゴ、吻殻類…植物片や不明なものまで。それぞれがすべて数種類あり、それぞれが研究対象になるであろうと思えたし、含まれる化石によってこの地の地層の同定につながる可能性があるからだ。そこの含まれるもの全体としてとらえる必要があり、自分に必要な知識がない場合、何が重要なのかを自分で判断するべきでないとも思う。

 そして本来化石は誰のものでもないと思っている。土地の所有者のもでも掘り出した人のものでもない。人はいずれ死んでいなくなるが人と一緒に貴重な化石が消えてしまってはいけないと思うのだ。本来であれば採集者→研究者→論文をへて最終的にはしかるべきところに集められ保管されるべきであろう。コレクターに渡る化石についても正確な産出場所が不明な状態で渡ってはいけないし最終的にはコレクターの化石も同じである。特定のルールがない以上すべては個人の良識に託されている。多くの人にとってそれは暗黙の了解事項だと思う。そしてこれも彼には関係のないことである。

 今回、顔の見えない不特定多数の人の恐ろしさを痛感することとなった。彼らに良識は通用しない。そしてそれは同時に情報公開した私自身の意識の低さも同じなのだと思うに至った。十分に検証されていない産地から出てきた化石の写真をリアルタイムで公開するなど正気の沙汰ではなかったようだ。レッドカードは私の方であった。

 露頭の掘り方を見ると彼の行動はこの地域全体に及び、既存の産地もすさまじく掘られている。止まることなく続くであろう。彼については望むべくもない。ただ露頭と化石に対して誠実であることを祈るばかりである。

 私が恐れるのはそこの何が含まれていたかわからないまま露頭が消えてしまうことであった。 追跡する人はいないだろうと安易に公開した私のブログは全く私の望まない結果になってしまった。私がこのブログを公開して2年になる。今にして思えば公開直後から追跡が始まっていたようだ。私のブログがあのような掘り方をする人にとってヒント満載のガイドブックになってしまった以上このブログは有害である。多分もう遅いのだがはなはだ慎重さに欠けていたことを深く反省し公開終了とさせていただく。

 

 私が書いた記事の中には公開されているとはいえ、本人の意向も確認せずに論文の記述を引用した部分もありました。不快に思われ、私の公開したものの危険性を一番感じておられたかもしれません。配慮に欠けていたことをお詫びいたします。

 

 読者になっていただいた方、コメントいただいた方々に感謝いたします。このブログは限定公開のものに移動しました。こちらからは連絡先が分かりませんので、閲覧希望の場合はお会いした時にお知らせいたします。

 今後このブログで公開するものがあるかはわかりません。当面はこのページのみといたします。