象のしっぽを追っかける

Tの化石採集日記

 ブログの公開にあたって 

 「このブログについて」にも書いたがまず言っておきたいのはタイトルの文字のでかさが私の意図するっところではないということ。「記事一覧」から入るとホッとするのだが、これではどれだけ気負ってるの?という感じだ。「違うんです。」と言って回りたいところだが今のところどうにも小さくできない。 

 このブログは今月初めに公開したのだが、ここで今までの経緯と現状を書いておく。数十年の時を経て(ちゃんと数えると、気が遠くなるので)再びこの地を歩き始めた時には石炭紀の地層を探していたが今私が取り組んでいるのはデボン紀の地層だ。ボヘミやんに地質図付きの論文とポイント3か所、この稜線とこの尾根にもポイントがあるらしいという情報。「はい、頑張ってね」って言われたわけではないのだけど…。それがスタートだ。以来ポイントを探し続けている。探さずにはいられないのだ。「像の巨体」が何なのかは自分でもわからない。期待できる何かよきものではあるが、実のところそれらは必ずしも必要ではない。探すこと自体、どうなっているのか考えること自体をすでに十分楽しんでいる。

 デボンの化石層は正確には中里層第3部層N3だが、今のところ区別する化石層が他にないため、大雑把だがデボンのDで表記した。いずれ、ボヘミやんが名前を付けてくれるであろう。D1を見つけたことで地質図上で探すべきラインが見えてきた。要するに地質図の境界線に平行なラインだ。GPSのlogもそのラインで何本も重なりところどころ見つけたポイントで団子のようになっている。何か見つけるたびに記録したウエイポイントの旗は100を超え、文字通りラインになっている。今回までに9か所のポイントを追加したが、ラインを追うのはとりあえずここまでにするとしたおよそ2キロのうち2区間、1キロほどがまだ空白部分として残っている。その1区間は車を横転させた沢を横切るであろう350メートルの区間、残りの650メートル区間は未だ手が回っていない。というのが現状だ。当初考えたのはせいぜい2,3キロの区間の同じ水深の海ならば同じような生物が多い少ないはあっても同じように生息しているだろうということ。この空白の区間にも何かしらの化石の層があるはずだと今も考えている。これは大枠の部分だ。だが、実際にこの想定ラインで見つけたそれぞれのポイントを見ると「区別する化石層が他にない」というわけにはいかない。

 まず岩質も入っている化石の量と種類が大分違うということ。似ているところもあり、同時期の堆積環境の違い、風化具合の違いも考えられるが、先ずはラインの違いであろう。南北方向が大枠として、次に問題になるのは東西方向に一体何本の化石層があってその幅はどのくらいかと,その層順ということになる。一つのポイントでそれが確定されれば他のポイントにも適応できるのではないか?細かい層になればそこに含まれる化石の分布も偏りが出たりするかも知れないのでそんなに単純なものでもないだろうが、ひとつの目安にはなるであろう。これが今後の課題の一つになる。

 それと疑問に思うのは、D1.D2タイプのファコの存在。今回D8と、とある沢の転石からも確認できたので産出範囲が広がった。産出量もそこそこ多い。今のところこのタイプのファコとオカノイが同じラインから出ることはない。生息時期が違うと思われる。であれば、どちらが先でどの時点で入れ替わったのか?そしてそれはなぜ?とか…。この二種類のファコの中間の形状もあるように思う、果たしてそれが個体差なのかどうか?まだ形状が確認できていないノナカイがその答えになってくれればいいのだが…。

 「ここでこんなファコが出た。」という記事ばかり書いているような気がする。南北につながる大枠を追っていれば一番化石の多いファコのラインを探し出すことになるから当然といえば当然の結果であろう。ファコのラインに付属するようにレア種のラインがあったりするようだ。私もそれらの追加標本をもっと見てみたいものだ。腰を据えないとなかなかお目にかかれないようだが。

 いずれにしろ課題は多い。見つけたポイントの追加調査も進んでいないから、増える一方だ。あまり先のことを考えると気が遠くなるのでこの先どうなるかは自分でもわからない。一つ一つ目の前のポイントを楽しむことに専念することにする。もう一つここで書いておきたいのは私がここで見つけたものが成果といえるかわからないが、ボヘミやんが最初に渡してくれた3点セット、地質図、起点となるポイント、情報がもとになっている。おかげで十分楽しませてもらっている。ボヘミやんには感謝である。もう少し動いて一緒にやってくれると嬉しいのだが…。それからこの詳細な地質図を作ったK氏の仕事にも敬意を表したい。

20.1.4 とある沢にてD9

 今回一日は石炭紀の探索に使うつもりでとある沢に行く。以前から腕足を確認していたデボンのポイントでちょっと見ていこうかと引っかかった。見てみると結構広範囲に化石が入っている。これはと思い取り組む前に近辺の地層の様子を確認するため尾根に登ってみる。尾根でも確認できればその先も追って行けるから。登ってみたが化石はない。しかもこの尾根は以前にもポイントを探しにきた場所だった。どうも尾根の石を見ていけばポイントを見つけられるというものでもないようだ。尾根を下って一番期待できそうな岩質のところで下に降りた。降りたところの斜面の露頭にも小さい単体のサンゴを確認できたし、登り始めたところに戻るまで斜面に点々と腕足やサンゴの入った露頭を確認できた。露頭と言ってもほとんど土に埋まったところが多いのだが…。今回はここまでとして再び沢を登り始めると、今度は沢の転石が目についた。これもデボンの石ではないかと叩いてみるとなんとファコの頭が出てきた。続いて尾部。残念ながらこの時の頭と尻尾が持ち帰った石の中にない。新聞紙に包んだまま産地に置いて来てしまったのか?周りの石はすべてそうらしくこんなものも落ちていた。

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 転石でこんなものがあるとわくわくする。上を見ると露頭がある。石を見ながら登っていくと次にこんな腕足。

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 露頭に取り掛かり最初に出てきたのがこれ。

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 かなり圧縮されて薄く割れる石。この石かぁ!という感じのちょっと残念な石。ポイントを見つけたところでまた周りの様子を見て回る。沢の反対側の斜面も見た。断層でずれることもなく続いているようで化石の入った露頭も確認できた。 

 ポイントにもどりとりかかる。最初に出てきたのがこれ。

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 Wおよそ36ミリ、デカイ!けど薄い。試しに上の頭部と1.1の頭部を並べてみた。

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 こんな感じ。今までで最大だがやはりかなり圧縮されている。薄く変な方向に割れたりするので、この後は何かしら入っているものは大きな石のまま構わずリュックに詰め込んで持ち帰った。時間もないし、おかげで久しぶりにリュックが満タンになった。

    以下、家でクリーニングして出てきたもの。最初の4枚は同じもの、頭部と胸部、次の頭部二つと三段目中央の尾部は同じ石に付いている(三段目左)。この石の裏にも保存の悪い頭部がついていた。

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 保存が悪いわけではないが圧縮されてる分変形がひどい。ポイントはまだ掘り始めたばかりだ。36ミリの頭部はこの辺か?と取り掛かってすぐに出てきたし他のものもほとんど隣り合わせた石から出てきた。怪しそうな石も集めパッキングまで一時間足らずであったが上の石のクリーニングには5~6時間かかった。分離が悪いところがあり、普通なら外れてくれるところもうまく外れてくれず、雌型をあきらめて地道に掘り出した。ここまでの感じだと腕足が入っているものの一緒に入っている化石は非常に少ない。デボンの森の化石はいり方を経験していないので何とも言えないが化石が少なくファコの頭が目立つところはD4と似ている。違いは地層が圧縮されていることとファコの大きさ、D4でも30ミリを超えるものはあったがほとんどは20ミリ前後、36ミリは巨大に見えた。

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 今回一緒に出てきたサンゴと思われるものと雌型の断面。これもやはりD4にもあったもの、もっと円錐状であろうと思われたが、三分の一に圧縮されているとしても意外に厚みがなかった。これではほとんど円盤状だ。こんな形状のサンゴもあるのだろうか?

 このポイントもどんな産地になるのか実に楽しみである。D9になる。ただこのポイントを見つけたことは雄叫びを上げるという感じではない。むしろ困惑に近い。今まで見てきたポイントすべて、ここにはないだろうと思った場所もすべてを見直す必要があるということだ。課題に取り組むとどんどん新たな課題が増えていく。全体像にはまだ遠い。








 

 

 

20.1.3 またまたD6斜面 D8追加

 前回「山歩き」したあたりから、こういう作業にはコンパスが必要なのではないかと思い今回は200円の子供用方位磁石を持ってきた。ホームセンターではそれしかなかったのでとりあえず。まあその場その場で地層の方向を見て大体この方向でもいいのだが…。この日試しに使ってみた。起点の産地の地層の方向はほぼ真北、傾斜はほぼ垂直、仮にこのまま地層が続けば地形の影響を受けずに北を目指せば延長ラインということになる。目視で目標を決めながら北に向かって登っていくと、次々と崩落地点(20.1.1参照)に辿り着いた。これは偶然だろうか?この時点で起点から約100メートル、構わずそのまま北を目指すとなんと最後はD6にたどりついた。でもこれはさすがに偶然。起点で垂直だった地層は上に登っていくと次第に西に傾き、D6のあたりではかなり傾いている。延長ラインも東側にカーブしていくはずだ。以前D6の30メートル東にも化石の入ったポイントがあった記憶がある。ほとんど手を付けていないが、そこが延長のポイントになるのかもしれない。

   〔 起点となるメインの産地から北に延び次第に東へカーブしていく〕というのが現状で想定される延長ラインになる。検証が必要だが…。現在この斜面で確認できた露頭はD6の他にだいぶ下のメイン産地に近いところにもう一つある(いずれも想定ラインの西側になる)。そこで今回こんなものが出てきた。

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    W25ミリD1D2タイプのファコ。このタイプの特徴は眼の形と複眼の数だ。オカノイと呼ばれるタイプは眼瞼葉が外側に張り出し円柱状に突き出した複眼とほぼ90度の強烈なエッジでつながっているのに対しこのタイプは眼瞼用の張り出しがなく球面上で複眼とつながりエッジがない。頭鞍の両脇にそら豆状の複眼が張り付いているように見える。そして複眼の数は極端に少なく、3条だろうか?であれば12条あるオカノイに比べて本当に解像度4分の1ということになる。このことからこのタイプのファコは当然、より古いタイプであろうと思われた。今のところこのタイプのファコとオカノイが一緒に出ることはない。オカノイを含むメイン産地の延長ラインから西は上位の地層になる。この場所でこのタイプのファコが出るのは想定外だ。これでは今どきのテレビからブラウン管に逆戻りということになる。どういうことか???。
   以下この日の収穫

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 かろうじて胸部ではないかと思われるもの。一応持ち帰ってみると尾部と胸部の裏に頭部の一部もあった。いずれも途中で切れている。化石になる前にすでに傷んでいる。標本としてはひどいものだがパーツはそろっている。 

 

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 H5ミリ

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 巻貝  左は18ミリ、他は9ミリ全部同じか全部違う種類か?

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 妙な形の腕足と思っていたもの。ボヘミやんに「スリッパサンゴ」だと教えてもらった。彼も誰かに教えてもらったらしい。

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 これもそうだろうか、この隙間が殻の部分だとするとずいぶん厚く見える表面に血管とか葉脈のような形状が見える。

 

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 サンゴ、下段は産地に置いてきたもの長さ12センチくらいか、これらもそろそろ名前が知りたい。

 

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 これも妙な形の腕足。今回これのふたの部分もついていた。本体正中部に波状のキールがある。D1とD4にも似たものがあった。H沢デボンやデボンの森からも出ただろうか?

 この露頭は比較的化石も豊富で保存も悪くなくいい感じの石だ。ここをD8とする。

 この日はこの後D6で終了まで2時間。今回3度目、アカントピゲとカリメネが出たポイントだが、どうも思わしくない。微妙なラインのようだ。ポイントがずれている気がする。2時間かけてチーク一つ大きめの石のまま持ち帰った。

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 チークとしか言いようがない。家でこの石を細かく割って小さい尾部が一つ出てきた。

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 中軸が太く盛り上がっている。先端に届いていないのは周縁があるためか?

 一緒に出てきた小さい腕足も載せておく。

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 W4ミリと5ミリ周りに棘が生えて見える。右はW7ミリ中央部だけ張り出している。

 

 今回この斜面に三日費やしたが逆に課題が増えたように思う。メインラインとD8の位置関係はメイン産地の西側にもポイントがあることを示唆しているし,D8とD6が同じラインかもわからない等々。なによりまだメイン産地の延長が確定していない。