象のしっぽを追っかける

Tの化石採集日記

中里層のロストロコンク(Rostroconchia=吻殻類)を見てみる その2

復元図

 これは14個のサンプルの中で同種と思われるD8産とD4産のサンプルについ形状の復元を試みたものになる。私なりに変形によるH,W,Lの比率の検証も行った。(後述)大体こういう形状になりそうだというところだ。

 

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これを描くにあたり、主に見たのは1番から3番のサンプルだ。はじめに内形雄型を描きその上に重ねる形で外形形状を描いた。外形形状の放射肋やsunoutの形状は2番のシリコン型を見た。

 海外のものの形状は、ほぼ,吻殻類の創始者であるPojeta&Runnegar1976年の論文を見た。各部の名称はLate Ordovician rostroconchs (Mollusca) from fluvial erratics in northwestern Europe. EBBESTAD, J.O.R., RHEBERGEN, F. & GUBANOVの模式図の表記を使った。

 

中里層産コノカーディウム目の形状

 中里層産の化石には殻は残されていない。海外の論文には殻の内側の図版が多少あるものの内形雄型の資料は見当たらない。直接比較するためには雌型に残された外形形状を探る必要がある。化石として取り出された内形雄型(殻の内側の形状)を見ると三角形のボディー部から細く長く突き出したsunout部が目につく。

 前述したようにコノカーディウム目の形状は大きく分けて後方のrostrum(吻)周辺のロストラルエリア、中央のボディー部分、前方の開口部(gape)のあるsnout部分の3つに分かれている。3つの部分を分けるボディー部前後のラインの角度によって殻の形状は様々な形に変わる。一般的なものとの形状を比較するため画像を転用させていただく。Shallow marine Rostroconchia (Mollusca) from the latest Devonian (Strunian) and
their significance for rostroconch life style and evolution Michael R. W. AMLER(図1)

Paläobiologie und Systematik der neuen Überfamilie Hippocardioidea POJETA & RUNNEGAR, 1976 (Rostroconchia, Mollusca)(図2)

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       図1                    図2

以下は1番から8番までのサンプルの形状になる。

 ロストラルエリアから見てみる。最初に見るべきはdorsal axisに対するロストラルエリアの角度である。1番のサンプルでこの角度を見るとほぼ90度か少し後方に傾いて見える。側面から見たこのラインは直線ではなくロストラルエリアのハート形先端部に向けて後方にせりあがっている。ロストラルエリアからこれを見ると先端が内側に巻き込んでいる。

図1で分かるようにロストラルエリア後方部分は元々は殻頂から後方のrostrum(吻)に続く二枚貝形状の一部であることが分かる。そのため内形雄型では正中部分にロストラムの付け根付近からハート型先端にかけて放射肋の痕跡と本体腹側の接合部と同様の波形の接合ラインが見える。(rostral commissure)

中里層産のロストラルエリアのこの部分を側面から見るとロストラムの突起のみ残してそのふちまわりの中にほぼ埋まりこんで見えない。図2のタイプに近いが、中里層産のものはここからさらにふちまわりを残してエリア全体が前方へ沈み込んでいる。このふちまわりの形状は内形雄型でよりはっきりと見える。ロストラルエリアのふちまわり全体が囲まれているため、はじめはこれがフードと呼ばれるものかと思ったのだがそうではない。殻は内形雄型の形状に沿って外側から少し巻き込んでふちまわりを作り、沈み込む。ふちまわりの殻が2重になってこの形状になっている。後方半分が切り詰められなおかつ前方に沈み込んでいる格好になる。海外の標本の中にも同様のふちまわりを持つものもあるがそう多くはないようだ。

 ロストラルエリアのふちまわりに大きな板状の囲い(フード)持つタイプがあるが、これは2次的に形成されるようで、殻の構造も本体のものとは異なり区別されているようだ。

 

 次にボディー部分とsnout部分を見てみる。ここで形状にかかわるのが図1でボディー部とsnout部の境界線の角度になる。これは便宜的にひかれたもので実際にこういうラインがあるわけではない。具体的に言うと殻頂付近から前方開口(gape))が始まるところを結ぶ放射肋の角度になる。この角度でボディーの大きさと前方開口の形状が変わることになる。角度が後方に傾けばボディー部分が狭くなり開口は背側に向かって大きく開くことになる。種類によってはボディー部まで開口が伸びる。中にはロストラルエリアの近くまで開口が広がり、まるで口の開いた二枚貝のような形状を持つものまである。角度が前向きに傾くとボディー部分が前方に張り出し前方開口は小さくなる。

一般的な形状でいうと図1のように殻頂部は三角形で大抵はsnoutより突出している。分割ラインも急角度で腹側に伸びている。

 中里層産で殻頂部を見ると三角形ではなくsnoutと同じ高さで突出がない。前後にある程度長さを持ち緩やかに前方に向かっている。この形状によって、ボディー部分は前方に張り出し、開口部は張り出したボディー部に押され背側に極端に集約されている。そしてこの背側に寄せられた開口部は生体の足の出る最低限の開口の大きさを確保するためか?さらに前方に押し出されているように見える。

snout部を形成する構造殻は前方に張り出したボディー部にかぶさるような形になっていて、そこにはっきりとした溝ができている。分割ラインが前方に向いた種類の中にはこの溝のラインが見られるものもあるがここまではっきりと区切られたものは見当たらない。このsnoutの構造殻は両側に張り出し薄い襞状のエッジをつくり、さらにそこには波形の形状まで見られる。ほとんどボディー部分とは独立した形状になっておりこの種の特徴といえる。この形状は前方に張り出したボディー部に押された結果ののように考えられる。おそらく前方開口が最も背側に寄ったタイプになるのではないかと思われる。

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 背側からの形状も見てみる。外形のゴム型を見るとsnout開口部の近辺から後方ロストラムの付け根付近まで左右の殻を分けるように溝が続いている。(dorsal furrow)内形雄型で見ると溝の深さは同じではなくsnout部で浅く、殻頂部は深く広く開いていて、ここに両側の殻が深く巻き込んでいる。左右の殻は緩やかに前方に分かれそこにsnoutの構造殻が放射肋に沿うような形でかぶって見える。

snoutの起点は三角で左右に丸みを帯びた唇のような形で横方向に広がり、ほぼ平行に先端の開口に伸びる。ボディー部は円錐状に絞られているためsnout先端部は横方向に張り出して見える。内形雄型ではこの起点部はかなり細く外形形状と最も違う部分だ。

開口形状は一般的なものと同様、腹側接合部が開いて開口につながる丸みのある三角形またはしずく型になる。

また、内形雄型ではボディー部とsnout部の境界がはっきり分かる。snoutの境界部には放射肋に沿うように深い溝(実際には殻の内側の出っ張った筋)が3本ほど並ぶ特徴的な形状が見える。

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 snout開口からロストラルエリアのハート形先端にかけてがボディー部腹側の左右の殻の接合部になる。(4面図body commissure)内形雄型ではこの接合部が波形のラインとして出っ張ている。これは左右片方の放射肋の間に反対側の放射肋がはまり込むことでこんなラインになるようだ。この波形模様は内形雄型で顕著で殻が残されていない中里層の頁岩層ではハート形のロストラルエリアと共にコノカーディウム目の形状の特徴といえる。この接合部をゴム型の外形で見ると逆にわずかに凹んで見える。内形雄型と外形ゴム型を並べた写真で分かるように大きさが大分違う。この大きさの違いが殻の厚さになるので全体の殻はかなり厚いことが分かる。この接合部は内と外から狭められ殻の厚さが最も薄くなっているようだ。ロストラルエリアのハート形先端部も正中が溝に見える。中里層のサンプルすべてに雌型が残されているわけではないのでこの形状を全て確認できるものではないが、1番のサンプルと14番の雌型で確認できる。

 

全体を見ると殻長の形状と放射肋の角度とsnout形状は連動して変わる。このサンプルの特徴をまとめると以下の3点になる。

 ①ロストラルエリアの角度は90度よりやや後方に傾き、ふちまわりを残してエリア全体が前方に沈み込む。

②殻頂は突出せずsnoutと同じ高さ。開口起点に向かう放射肋は緩やかに前方に伸びる

③背側に寄せられたsnout部とボディー部との境界に両者の形状を分けるはっきりとした溝がある。

 


中里層の化石の変形について

 中里層の化石は地層と共に圧縮されてかなり変形している。母岩から取り出されたサンプルを見ると1番と3番ではかなり形が違う。1番では前後方向に厚みがあり、腹側接合部を頂点とした三角錐に見える。3番では前後方向に厚みはなく腹側接合部は平らで、ロストラルエリアが前方に凹んでいることもありハート形先端部は腹側接合部とほとんどくっつくほど圧縮されている。海外の図版を見るとロストラルエリアが縦長のものもあるので、はじめは1番の形がほぼほぼ元の形に近いだろうと考えたがこのサンプルだけ圧縮が少ないのは考えられない。他のサンプルと同様に圧縮されているはずである。三角錐に見えるのは横方向に圧縮されて折れ曲がったようになっているためでこの種の特徴ではないようだ。どちらも元の形ではないということだ。もとの形を探るときに必要なのが地層の圧縮率とどのように埋まっていたか?(圧縮の方向)である。

 圧縮率を測る目安としてD1産のサンゴを見てみる。

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 このサンゴはD1ツクダニ層で風化して本体がなくなり楕円形の長い穴が開いていたところにゴムを詰めたものだ。かなり押しつぶされている。このサンプルの幅と厚さを測るとW22ミリD13ミリの楕円になっている。サンゴであれば元の形は円筒形のはずである。このときに重要なのが元の円筒の直径を考えるのに楕円の平均値を出す必要はなくW22ミリがそのまま直径になるということ。このサンゴは左側の隅で手前に折れ曲がっている。この部分を見るとほぼほぼ直径22ミリの円形になっている。直径22ミリの
円筒が13ミリまでつぶされているので圧縮率はほぼ60%となる。例えば薄いプラスチックの円筒を押しつぶすと横に押し広げられ円周はそのまま維持されるが堆積して固まった中で押しつぶされても横に広がることは考えられない。圧縮の方向に垂直方向の形は変化しない。変形するのは圧縮方向の厚みだけということだ。圧縮された地層の中の化石は圧縮方向から見たレリーフとしてとらえることができる。変形は縮むだけで引き伸ばされることはない。

 このことを踏まえ1~3番の変形されていないと思われる部分を見てみる。1番は少し斜めではあるが側面形状、dorsal axisに対するロストラルエリアの角度と高さが測れる。(H11ミリ)2番はdorsal axisに対して垂直であるため前後の長さ(L13ミリ)、そして少し斜めに変形しているがロストラルエリアの幅をほぼW10ミリと見ることができる。3番は正中が斜めに傾くことがなく維持されているがそのまま測れるのはW11ミリだけだ。1番のサンプルはsnout部を欠いているので2番のサンプルと直接比較大きさの比較ができないのだがロストラルエリアのふちから前方開口が始まるところまでの長さを見てほぼ同じとした。結果、幅、高さ、長さの比率はおよそ、W10:H11:L13ミリになりそうだ。この比率をもとの形状として1~3番の圧縮の様子を描いてみた。矢印が圧縮方向、矢印に垂直のラインが堆積面と想定し大体6割に圧縮した。

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 形状の違いは圧縮の方向の違いでこの3つのサンプルは元々同じ形ととらえて良いのではないかと思う。

 

 産状とライフポジション、層準の背景

 コノカーディウム目の中にはロストラルエリアのふちまわりにフードと呼ばれる板状の囲いを持つタイプと持たないタイプがある。海外の論文にはそのライフポジションを描いた図版がある。両方ともロストラルエリアを上に向けて堆積面にもぐりこんだ状態で描かれている。この他に、 POJETA & RUNNEGARの論文にも各研究者が想定した様々なライフポジションが載せられているが上記のものが有力のようだ。中里層の化石は圧縮を受けて変形しているため逆に圧縮の方向を見ればどのような状態で埋まっていたのかが分かる。この絵のようにロストラルエリアを上に向けて埋まっている状態で、かつ中里層の化石が生存時の状態のままで埋まっているならば、ロストラルエリアはほぼ変形を受けずに前後方向に圧縮されそうだが、そうはなっていない。様々な方向に圧縮されており生存時の状態ではないということになる。 

 次に14個のサンプルの圧縮方向を書き込んでみた。

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ライフポジション         各サンプルの圧縮方向         8番産状

 大抵は腹側接合部がつぶれて平らな状態で出てくる。前方開口からロストラルエリア先端までの腹側正中の斜面、この斜面にほぼ垂直方向からの圧縮が集中している。①は左側面を下にして横に倒れた状態になる。②⑤⑥についてはほぼdorsal axisに垂直方向になる。この方向から圧縮されるためには背側が堆積面に向いた状態でないと考えにくい。D8産では⑦が唯一堆積面に近い方向で埋まっていて、前後方向に圧縮されている。
いずれにしても様々な方向に圧縮されているところを見ると生存時の状態ではない。

 中里層のコノカーディウム目の産出場所は7か所に及ぶ。これらは近接するものではなくある程度の距離を持って点在している。それらは同一の層ではなく少なくとも3、またはそれ以上の層に分けられる。すべて違う層の可能性も否定できない。14個のサンプルの内訳をみるとD8が6個、D1が2個、D4が2個、D1に付属する腕足ラインで1個残り3個は転石で一つはD8と同じ層由来と考えられ、残り二つは露頭が特定されていないそれぞれ距離の離れた場所なる。ここでコノカーディウム目を産出したこれらの地層についても触れておく。

 D1は中里層の中で最も化石を多く含む層になる。サンゴ類が圧倒的に多く、次いで腕足類、三葉虫、巻貝、calceola(スリッパサンゴ)など、過密と思われるほどの化石が含まれる。腕足、三葉虫などパーツに分かれるものはほとんど分離されている。吹き溜まりか?と思われるところもある。含まれる化石からD8もこの層の延長と考えている。D8産の三葉虫には埋められた時に力が加わったのではないかと思われるものがある。頭部と尾部が並んだサンプルに化石になる前にできたと思われるひび割れが見られる。また元は丸まった完全体であったと思われるサンプルについても丸まった状態でさらに力が加わりひび割れ、つぶされたように見える。これは堆積表層部を攪拌するようなイベントを示すものにならないか?と考える。

20.1.3 またまたD6斜面 D8追加 - 象のしっぽを追っかける

 13番のサンプルの産地であるD1腕足ラインはD1に近接する層であるが、全く別の層になる。D1で大勢を占めていたサンゴの姿はなく化石の量も少ない。腕足類が主で大型のアカントピゲや種類のはっきりしないファコプスなど数種類の三葉虫を産出する。

D1D3近辺 - 象のしっぽを追っかける

 産出場所の中で唯一ライフポジションを維持している可能性があるのがD4の8番のサンプルになる。D4もD1,D8とは含まれる化石の種類も量も全く違う堆積環境になる。堆積時期もかなり違うと思われる。含まれる化石は腕足類と三葉虫、小さな単体サンゴで他の化石はほとんど見られない。化石の量も少なく静かな印象がある。雌型ではあるがファコプスの丸まった完全体も出ており、生息時の環境が維持されているように思われる。8番のサンプルはsnout部が最も垂直方向に向いており想定されるライフポジションに最も近いものになる。(8番産状)

  この生態図が載せられていた論文Shallow marine Rostroconchia (Mollusca) from the latest Devonian (Strunian) and their significance for rostroconch life style and evolution Michael R. W. AMLERは入手できた中で唯一全編翻訳されたものだが、元々の基礎知識がないので理解には程遠い。

この中には吻殻類の栄養摂取についても詳しく書かれている。吻殻類の殻の構造と現生種の生態から褐虫藻との共生することで、その光合成産物を栄養源にしていた可能性があるとしている。そしてそのための環境として、「緯度30度までの常に20℃を超える一定の水温、透明度のある水、浅い水深、」などを挙げている。そうであるならば、吻殻類が加わったことで中里層の堆積環境がぐっとリアルなものになる。学者の考えることはすごい。

 

複数の種類の可能性について

 1番から3番とD4の8番で見たのと同様に4番から7番のD8産のサンプルについても同じタイプと考える。問題となるのが内形雄型ではっきりと肋の形状が見える9番から12番までとsnout先端部を残した13,14番の雌型のサンプルになる。

 9~14番までの6個のサンプルのうち10番と12番を除く4つのサンプルは腹側正中斜面が母岩の層理面とほぼ平行である。圧縮方向に対して垂直方向の形は変形しないと考えるならば見たままの形がそのまま形状の違いということになる。D4の9番とD1の11番は同じタイプに見えるが他の10,12,13,14番はそれぞれ形状が違うようだ。各サンプルの寸法を測り、元の形から60%圧縮として、圧縮方向に約1.7倍して3番と同じ方向で復元を試みた。側面形状は圧縮率によって変わる。60%の圧縮率は目安であって一定ではない。1番から8番までを同種とし、比較のためにタイプAとする。ひとつづつ形状の違いを示す。

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10番

 内形雄型の部分的なサンプルで雌型はない。snout部からロストラムの付け根までとロストラルエリア、ハート形の左翼の張り出し形状までが見える。dorsal axisとロストラルエリアの角度が広いことからこれも3番と同じ圧縮方向として作図した。

このサンプルで最も目を引くのがボディー部の前後方向の厚みか極端に短いところだ。具体的には殻頂(umbo)の長さになる。同じ方向で圧縮されていると思われる3番はW11ミリ、このサンプルはおそらくW17ミリとかなり大きいが殻頂の長さは3番より短い。

殻頂は図1のタイプのように三角形でdorsal axisよりはっきりと突き出ている。

放射肋の広がりがなくsnoutの付け根まで平行に近い角度で密に並ぶ。肋の数は11か12

ロストラルエリアはエリア全体がすり鉢状にふちまわりの中に埋まりこんでいるがタイプAのような明確なふちまわりの立ち上がり(エリア内の沈み込み)はないようだ。背側殻長からロストラム(吻)にかけて放射肋が同心円状に5~6本見える。

このサンプルの形状はフードを持つタイプの形状と似ている。雌型が残っていればフードやその痕跡が見れたかもしれない。

9番、11番

 D4とD1で産出場所が違うがほとんど同じ形状に見える。2つともロストラルエリアを欠いている。11番では押しつぶされた側面の形状が見られ、ロストラルエリア背側の角の位置が分かるが、ボディー部の左右はつながっておらずsnout部も欠落している。

先ず大きな違いはタイプAと比べて大型であり内形雄型ではっきりと放射肋が見えること。Wは9番で14ミリ、11番では18ミリで倍近い大きさになる。

ボディー部はタイプAと同様に前方に張り出した形状だがsnoutのくびれまでが長く見える。肋の数は15~16本。角度は一定ではなくロストラルエリア近くで広く、くびれ付近で細かく刻む。前方に押し出されて伸びたようにも見える。タイプAよりさらに前方に張り出しているようだ。

また、タイプAがロストラルエリアのふちからsnoutのくびれまで円錐状に絞られているのに対し11番ではロストラルエリアからゆるい角度で前方に張り出し、くびれの手前で急に絞られている。この形状は平らに押しつぶされた腹側でも見られる。

内形雄型のサンプルだが腹側正中接合部が凹んでいるのが見える。

 

13番

 このサンプルはほとんどが雌型であるが明らかにタイプAとは形状が違う。全体に前後方向が短く残されたsnout部も太く短い。

最も注目すべきがロストラルエリア外縁部にフードの痕跡では?と思われるものが残されているところだ。(写真左4枚)ロストラルエリアの外縁部がはっきりしないためルーペで見ると最初の肋にかぶさるように薄い殻が残されていて外側に伸びている。反対側にも殻はないが痕跡が同様に伸びている。この部分は岩の割れ肌ではなく化石本体の延長で色も母岩と異なる。うっすらと細い縦溝があるのも確認できる。フードを持つタイプはロストラルエリア、ハート形先端部にorificeと呼ばれる管状の第3の開口部を持つようだが残念ながら先端部を欠いている。

この雌型のサンプルでは外側にはっきりと深い肋が並び、肋を横切るように細かい成長痕の溝まで確認できる。その内側に殻が張り付くように残されている。一番きれいに残されているところは殻の内側が平らでうっすら肋の痕跡が見えるくらいだ。内形雄型の表面もこのように凹凸のないものになりそうだが、ただこのサンプルの残されたsnout部の内形雄型の側面には放射肋に沿うように線彫りのような細い溝とさらに細かい成長痕まで見える。(写真右2枚)

放射肋は角度の偏りはなく、腹側正中ではほぼ均等に並んで見える。雌型の放射肋はsnout部の側面まで続いているのが残されたsnout部の隙間から見える。snout先端部にはほかのサンプルにはない端部の形状が見える。

左側の立ち上がり部分で殻頂部の放射肋の角度が見える。その角度を見ると残されたsnoutの延長ライン(dorsal axis)を越える。10番の殻頂のように三角に張り出した形状殻頂が想像される。

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14番

腹側の形状であるがとにかく前後方向に長い。腹側正中がロストラルエリア手前で背側にカーブして見える。このあたりがdorsal axisに対して90度付近でロストラルエリアが後方に傾いた形状が想像される。

snoutとボディー部を分けるくびれの位置がかなり前方まで押し出されている。くびれ付近まで波形接合部が見える。はっきりと見えないがその先で開口が広がっているはずである。

くびれの先は短く先端部は広がっている。タイプAのsnout部のようにsnoutの構造殻がボディー部前方にかぶさり横に張り出した形状が見られる。

波形接合部付近が凹んでいる。これほどつぶされてもはっきり見えるのは本来の特徴かもしれない。

放射肋の装飾は弱く薄く残るくらい。くびれまで15~16本ほど数えられる。

圧縮方向は正中より少し左側に傾くがWの寸法を変えるほどではない。両サイドの立ち上がりがほぼ残されているのでW寸法は図れる。W11ミリ。厚みはせいぜい5ミリ、ロストラルエリアの角の位置は放射肋の角度で推測して作図した。側面図は推測の域を出ない。

 

12番

L12~13ミリ。ロストラルエリアと背側正中部を欠いている。左側面の斜め方向から圧縮、反対側はつぶれて折れ曲がっている。

基本タイプAと似た形状に見える。大きさもほぼ同じだが内形雄型ではっきりと放射肋が見える。肋の数はタイプAより多くsnout境界まで15本のようだ。snout部も破損しているのでそこまでしかわからない。

同じく放射肋が見える10番11番のようなボディー部の前方への張り出しやふくらみはなく区別できる。

 

 これら9番~14番までのサンプルについてはタイプA(1~8番)と明らかな形状の違いがある。しかも、すべて不完全なサンプルではあるが、それぞれ種類が違う可能性が高い。タイプAと最も形状が近いと思われる12番も別のタイプとするならば、7か所の産出場所に対して6種類存在することになる。ほぼ産出場所ごとにタイプが異なる。6種類のうち4種が単独のサンプルになる。かけている部分の形状とそれぞれのタイプが中里層の中でどのくらいの広がりを持つのか(水平分布と垂直分布)を見るためには更なる追加標本が必要になる。昨年のサンプリングでタイプAについては大分形状が見えてきたが、逆に課題が増えた格好になった。

 先にも述べたが中里層の化石層は数10センチの層が多数存在し、化石の量、種類ともそれぞれ独特の様相を持つ。異なるタイプのコノカーディウム目が突然現れ短期間のうちに消えていくというのも考えにくいのだが、中里層の化石層ではサンゴ、腕足類、三葉虫などの他の化石についても多様性を持ちながらもそれぞれの種の盛衰が見られる。これらのコノカーディウム目の存在が広範囲に点在する中里層の化石層を特定するための新たな材料になるかもしれない。実に興味深い。今後これらの化石層を探る中でそれぞれの追加サンプルを期待したい。フードを持つタイプの完全なサンプルなど見てみたいものだ。

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分類と種類

  海外の論文で入手、または閲覧できたものは POJETA & RUNNEGAR, 1976 を含めた10篇を少し超えるくらいだろうか?それらはどんな形状のものがあるか、ほとんど図版を見るだけのものだ。端的に言えばタイプAについては形状が一致するものは見当たらない。研究の中心が欧米、西アジアまでであれば当時の位置も遠く離れていただろうから違うタイプが出てきても不思議ではない。多分同じものはないであろうと考えている。

 コノカーディウム目の分類で私が知っているのはHippocardioideaとConocardioideaの2つに分けられること、この2つはフードを持つタイプと持たないタイプとして区別されているくらいだ。「形態学的な違いはまだ正確に定義されていない」という一節もあり、どういうこと?と思ってしまう。

この二つの分類がさらにどのような基準で属に分けられているかと各属の生息期間が分かればデボン紀前期、中期あたりで大分絞られるだろうか?

 9番11番と14番のサンプルもボディー部がさらに前方に張り出してsnoutが背側と前方に押し出された形状はタイプAと同じと思われる。この二つのタイプに比べるとタイプAの前方への張り出しは少なく「短い」ということになる。10番と13番についてはフードを持つタイプとして属まではたどれるかもしれない。いずれにせよ、属の同定にしても追加標本による形状の確定と圧縮による変形の検証が必要であろう。

 

 この奇妙な形をした小さい貝殻が一体どうゆう形をしていたのかが個人的な興味の対象であった。ほとんど論文も読まず、とにかく元の形がどうであったかを探ってみた格好だ。私は研究者でも専門家でもないので「考えられる」「思われる」というところは復元図も含め私の個人的な解釈である。「思い込み」や間違っているところがあるかもしれない。

 私もこれらのサンプルが重要なものであろうことは認識しているが、これ以上は上記の形状の検証も含め別な作業になる。プロによるさらなる分析比較検証され報告記載されるべきと考えている。私としては海外の論文で様々な形状があることを見る中で、コノカーディウム目の殻の構造の多様性とそれがどのように捉えられているのか?あるいは捉えられるのか、軟体動物門唯一の絶滅網?である吻殻類の「試行錯誤」の方が興味がある。いずれKITAKAMIの名を冠したロストロコンクが記載されることを期待する。

 

21/8/24  各サンプルの復元図を修正。形状比較図を追加した。

21/8/29 4面復元図2枚を修正。形状記述、他数か所修正、追記した。

中里層のロストロコンク(Rostroconchia=吻殻類)を見てみる

 ロストロコンクは去年の正月に妙な形の腕足として記事に載せた時にペクテンさんより指摘していただいた経緯がある。以来、全体はいったいどんな形状なのか興味をそそられていた。去年の巡検で追加標本も得られ、ほぼ完全な状態で取り出せたものもある。どんな形なのか絵も描いてみた。ここで私自身の理解のために、吻殻類って何?どんな形状か?この地域から出てきたものがどんなものかまとめて見ようと思う。

 

吻殻類(Rostrocochia)

  • カンブリア紀前期に出現、ペルム紀後期に絶滅した軟体動物門(Mollusca)の一網
  • 外形は二枚貝に似ているが殻は単一であり左右に分離しておらず開閉もしない。
  • 1972年に独立した吻殻網として提唱され、後に原始的なリベイリア目(Ribeirioida)と派生的なコノカーディウム目(Conocardioida)の2目に分類された。
  • オルドビス紀前期にもっとも繁栄したが、中期に二枚貝の多様化が進むとともに衰退、リベイリア目はシルル紀前期に姿を消した。
  • 2目、3ダースの属、1000種類以上いた。
  • 突き出た前方に開口(gape)があり、筋肉の足が出ていた。大抵は前方を堆積物に埋まった状態に描かれている。「足の内部の解剖学的構造と形態は、掘足類に近かった」。
  • 二枚貝類と共通の祖先(単板類)を持つ」、「デボン紀の間にコノカーディウム目の吻殻類が掘足類(ツノガイ類Scaphopoda)を生み出した。」という説がある。
  • 日本では、秋吉台と新潟の青海石灰岩福地の石炭系から産出の報告がある

 一般的な解説は大体このようなことになる。「二枚貝類とツノガイ類をつなぐ絶滅貝類」という位置付けのようだ。日本の文献はまだ見れていない。上記の他にも最近の生物の系統研究には、生物のもつタンパク質のアミノ酸配列や遺伝子の塩基配列を用いて系統解析を行う分子系統学という分野があるという。

http://www.um.u-tokyo.ac.jp/hp/sasaki/04-Sasaki-publications/text/JB009-Sasaki-2010-1-2.htm

http://palaeos.com/metazoa/mollusca/rostroconchia/rostroconchia.html

http://.berkeley.edu/mollusca/mollusca/bivalvia/rostroconchia/rostroconchia.html

https://en.google-info.org/index.php/2056806/1/rostroconchia.html

 

コノカーディウム目(Conocardium)の形状

 国内のデボン系からの産出は初めてのようだ。中里層のロストロコンクはコノカーディウム目になる。

 コノカーディウムと二枚貝類、ツノガイ類の殻には、それぞれ前後と背側,腹側の方向がある。筋肉の「足」が出る方が前方。二枚貝では蝶番のあるほうが背側、大抵はどちらかが張り出しているが張り出しの少ない方が前方。ツノガイでは開口の広い方が前方、湾曲した外側が腹側となる。

 コノカーディウムは二枚貝に似ていて初めは「ニセ二枚貝」と呼ばれていた。すごく乱暴な言い方をすると、ツノガイの中央に二枚貝をくっつけた形、または二枚貝の蝶番のあたりにツノガイを突き刺したような形状だ。ほぼ二枚貝の形状の中央体、前方の太い張り出しをsnout、後方の細長い突起がrostrum(吻)と呼ばれる。前方のsnoutには足が出る開口(gape)がある。はじめは前方の目立つ張り出しが吻状突起だろうと思ったのだがそれは誤りで、後方の小さな突起が名前の由来であろうrostrum(吻)になる。中央部は厚みがあり「球状のものもある」。二枚貝と同様に殻頂(umbo)があり、放射肋がある。後方のrostrumの付け根周辺はこの放射肋の角度に沿って、様々な角度で平面部(rostral erea)を形成する。側面からこの平面部の生成過程を見ると二枚貝のように見える部分が後方から徐々に切り取られているように見える。最大値に達したもの(背側前後軸dorsal axisに対しほぼ90度)は後方半分が切り取られ、円錐形、腹側接合部を頂点とした三角錐または漏斗状になる。中里層から出てきたものもこのタイプになる。この平面部の形状はハート状で、コノカーディウムの形状を特徴づけるものになっている。また、この平面部のふちに板状の囲い(food)を持つタイプもある。他にも前方のsnoutや後方のrostrumが長く突き出たタイプなど、多様な形状がある。これらの形状は時代による変遷もあるだろうが、多くは同時期に様々な形状があったようだ。形状の変遷がどのようにとらえられているのかは不明。論文のタイトルだけ見ると多くの研究があるようだ。

 

次に中里層から出てきたものをまとめて並べてみる。

 現在14個のサンプルがある。母岩から取り出せたもの8個(このうち2個がほぼ完全、ロストラルエリアが見れるもの4個)、母岩についた腹側4個、先端部が残された腹側雌型2個。実際の標本のサイズとしては小さいものだ。多くは幅1㎝長さ1.5㎝というところだ。大まかには先に書いたように円錐形、三角錐または漏斗状ではあるが、見る方向で形が違い、全体をとらえるのが難しい形状だ。また中里層は風化した頁岩層で殻は残されていないため化石は内形雄型になる。外形を見るため雌型からゴム型も取った。全体が残された標本でも前方の開口部(gape)で母岩とつながっているため大抵はsnoutの根元部で折れてしまう。数種類ある可能性もあるので標本ごとに番号を付ける。

 

1.D8産 W8ミリ、H12ミリもっとも変形が少ないと思われるもの。,rostrumが残されている。雌型にまだ前方先端部が残されている。

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ロストラム平面部
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本体部側面、腹側、背側
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外形ゴム型

2.A沢転石 W11ミリ、H7ミリ、L13ミリ 高さ方向に圧縮されている。ほぼ全体の形が残されており、雌型からは外形の形が得られた。

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ロストラム平面部rostral erea、側面、腹側、背側
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斜め方向
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外形ゴム型

3.D8産 W11ミリ、H9ミリ、L12ミリ 今年になって分離できたほぼ完全なサンプル。snoutの先端部がわずかに切り取られているが、そのため開口部(gape)の形状がよくわかる。2番のサンプルより背側snout先端部がラッパ状に広がっている。rostralerea外周のhood?もきれいにも残されている。雌型より全体の3分の2ほどのゴム型が取れた。

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4.D8産 W11ミリ、H10ミリ

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腹側接合部とロストラム平面部

5.D8産 

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6.D8産 

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7.D8産  本体部とsnoutの境界当たりの形状が見れる。部分だが、雌型の保存が最も良くから表面の模様がはっきり見える。まだ続きが埋まっている。うまく掘り出せればsnout部の詳細が見れるかもしれない。

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8.D4産 3,4番と同じ方向で圧縮、変形している。殻の一部が黒いガラス質になって残されている。rotralereaも残されているようだ。

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9.D4産 W15ミリと一回り大きく、放射肋の模様が見える。一体の殻のはずだがrostralereaはない。

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10.D1ツクダニ層 D1,D4のサンプルはロストロコンクの存在を知る前に妙なものとして持ち帰ったものだ。このサンプルはD8のものの2倍近いWになりそうだ。基本同じタイプだが種類が違うように見える。

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11.D1ツクダニ層 W19ミリ一番大きいサンプル。放射肋がはっきりみえる。

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12.D10転石 大きさはD8産より同じか少し小さく見えるが放射肋ははっきり見える。

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13.D1腕足ライン snout先端部の形状が見える。これもD8産と形状が違うかもしれない。

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14.産地名なし 右が13番との形状比較、かなり長く見える。

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 これらのサンプルをもとに、どうゆう形状か探りながら描いてみたのだが…。

 化石の変形を描いた絵をもとにコピー機を使って再現しようとしたが、どうも修正が必要のようだ。時間がかかりそうなのでここに載せるのはやめておく。代わりにノートに描いた下書きと最初に描いたスケッチを載せておく。

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 詳細と他の地域のものとの違い、中里層の化石の変形について、複数の種類の可能性については、後で追記することにする。




 










 

ほぼ半年ぶり

 久しぶりに編集画面を見る。ほぼ半年ぶりになる。このブログを見る人は多くはないが、ボヘミやんと何人かは時々チエックしてくれていたかも知れない。年末年始はさすがにあきらめた。今の状況だと多分5月も難しいだろう。1月にボヘミやんと話した時には春までには何とか…と言っていたが、目だけではなく体調にも不安があるようなことを言っていた。また現場復帰できることを心待ちにしている。どんな感じだろう?

 

 前回の記事以降は10月にD9から出てきAcanthopygeの尾部のクリーニングを試みたが雌型も残しつつ分離するのは難しく止めた。なにより小さすぎ。以前D6から出てきた白い殻が残る頭部のクリーニングをしてみたがこちらは残念ながら続きはないようだった。ただこの石、まだ割れそうなので割ってみたらなんと頭部がもう一つ出てきた。

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 しかも結構大きい。全体の幅にすると20ミリくらいありそうだ。前後方向に見事に折れ曲がっているがその分、頭部の厚みの情報が残されているかも知れない。ネットの画像を見ると頭部の厚みがかなりあるようで巻き込んでいるようにも見える。D1腕足ラインのボヘミやん標本に近いものであろう。今まで画像をちゃんとチェックしていなかったがこの三葉虫にしても「デボンの森」から出ているKettneraspis にしても、「黒太郎」にしても、デボン紀三葉虫はかなり派手で楽しい。Cyphaspisがおとなしく見えてしまう。

 

 去年はコロナながらも、ある程度の成果は得られたと思っている。D9の追加調査での「黒太郎」と「脱皮場」と思われるファコの産状、ロストロコンクの追加標本、D4を除く各ポイントの追加調査でもすごい化石が出たわけではないが、次につなげる新たなラインを何本か確認しているし、最後にD10の「しっぽ」を捕まえた。もともと探しているのが小さいものたちだから、びっくりするようなすごいものはなかなか出てこないが、捨てる寸前の25ミリの石から完全体と、私の中ではD6から出てきた「ほぼ正三角形の腕足」はびっくりであった。見たことがない。どこか他から出ているのか、名前があるのか知りたいところだ。

 この地の層準については未だに釈然としていない。スッキリさせるには決定的なラインの発見が数か所必要だと考えている。まだあちこち歩きまわらなければならない。気がかりなのは、この辺の山の地権者の方々に未だにご挨拶していないということ。去年伺おうと思っていたのだが、あの状況だったのでやめた。今年こそ何とかとそれができればと思っている。

 

 それから化石とは全然関係のないことだがここ数年にわたり仕事以外に引き受けた役職からこの春にようやく解放された。年間を通して決して少なくはない作業量で先月もかなりの時間を取られた。もう考えなくてもいいと思うと嬉しくてしょうがない。そんな中でも今年に入ってロストロコンクの形状がどうなっているのか資料を探しながら見てみた。次にその記事を書こうと思う。