象のしっぽを追っかける

Tの化石採集日記

D1D3近辺

  D1は最初に見つけたポイントであり、今まで見てきた中で最も化石を多く含む層になる。場所によっていわつるツクダニ状で隙間なく化石が密集する。そして名無しの三葉虫 Phacopidae sp. A を含む層として唯一同層準として追跡可能と思われる層である。今のところこの層の延長として想定できるポイントは、D2近辺、D8と、まだ露頭を見つけていない「とある沢」である。D3近辺のポイントは直接の延長と考える。そしてこの層を基準としてこの地の層準を考えられると思っている。要するにこの層の上か下かだ。

  D1から産出する化石はサンゴが多く、大型なものもあるのがこの層の特徴ともいえる。次いで腕足類、三葉虫、calceola(スリッパサンゴ)巻貝、そしてここでもロストロコンク(吻殻類)が産出している。普通に見られるはずのウミユリとコケムシはほとんど見られない。保存がいいところもあるが全体としてはあまり保存がよくない印象だ。化石になる前にすでに劣化しているように思われる。ツクダニ部分は特にそれが言える。ボヘミやんにもらった論文によるとこの層は大久保氏が記載した49bedの黒色石灰質頁岩にあたるとしている。直接確認したわけではないのだが…。D1にはこの層の5,6メートル上にもう一つ腕足を含むラインがある。少ないがこの間にも化石が含まれ詳しく見ればいくつかの層に分けられるだろうが、暫定的にD1黒色頁岩層とD1腕足ラインとする。この二つの層はD3近辺でそれぞれ2か所同様の配置で確認している。

 

 D1.D3.黒色頁岩層

 三葉虫

 1. Phacopidae sp. A 

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 2.Kobayashipeltis paucispinosa

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    3.   Nipponocalymene ?

 左は転石で岩質も違う。下部方向に隣接する層のものかもしれない。

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    4.   不明種 

 

 サンゴ類

 手持ち論文で中里層のサンゴ類の記述に出てくるのはFavosites sp.(ハチノスサンゴ)とHeliolites sp.(日石サンゴ)くらいでお手上げである。全体像がどんな形状なのかも分からない。とりあえず形状で分けてみる。

枝状のもの

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網目状になるもの

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単体サンゴ

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塊状になるもの

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くびれがあるもの

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大型のもの

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その他

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calceola(スリッパサンゴ)

 間違い探しのようだが、この三つ形状が違う。種類があるのか?右側はD3産。3個ともW18ミリ。

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さらにこれも形状が違う上にサイズが違うW40ミリくらいになりそうだ。管状の付属パーツがある。D3産。

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並べてみて初めて気が付いた。全部形状が違う。


 腕足類

 積極的に集めたわけではないのだが19種になった。そのうち田沢氏の論文で振り分けられたものは4種類。層が違うと含まれる腕足類の種類も違うようだ。腕足でも層の識別に使えるかもしれない。D4と共通のものはLeveneaと Kayseria lensのみである。先ず、 Kymatothyrisが全く姿を見せない。

1. Levenea wotuoshanensis, Zhang雌型から殻の表面の形状が分かる。

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2.Leptaena analogaeformis?

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3. Kayseria lens(Phillips)

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4.Malurostrophia sp. これがそうなのか?

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不明種1.

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不明種2.

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不明種3.

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不明種4.

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不明種5.雌型より雄型のほうが模様が鮮明に見える。普通と逆になる。凹んだ雌型が殻の内側に見える。凹んだ背殻ということか?

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不明種6.ツクダニの中にこんな繊細な模様が残されていた。

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不明種7.背殻になるのだろう特徴ある形状だ。

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不明種7.これが、Frankiellaか?とも思ったが、放射状の溝が直線状ではない。

不明種8.放射状と同心円の模様、両方が同様の強さ。同心円方向のほうが間隔が広い。W7ミリ。

不明種9.

不明種10.不明種6の内形雄型はこんな感じになるか?7~10はD3産。

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不明種7         不明種8        不明種9        不明種10      

不明種11~14.13と14は同じものかも。

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不明種11        不明種12         不明種13

不明種14 はじめFrankiella spに入れたが、これにもサルカスが見られる。少し横長な感じがする。

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不明種が増える一方だ。多分まだ増えるだろうと思われる。ほとんどが1個体だけであるから産出量の違いも判らない。田沢氏の論文が頼りだったがすでに限界。種類の判別には資料が足りない。ただ、名前が分からなくても層の判別には役立つだろうから良しとする。

巻貝

資料としては大久保氏のH沢Ǹ3部層、Murchisonia sp.とPleurotomaria spの記述のみ.である。縦に長いか短いかくらいの違いだ。Pleurotomariaはオキナエビスガイ科とある。現生種にもあるようだ。右の二つはツクダニ部分に紛れていた。右端のものはD2で保存の良い標本がある。資料があれば属名まではたどれるかもしれない。

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ロストロコンク(吻殻類)

 奇妙な殻をもつ 原始的な軟体動物。D4.D8の標本も含め形状を確認したいところだがとりあえずここで産出した2個体を載せておく。上段25ミリ。

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その他

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厚みのあるV字型の断面形状で細長く、ウミユリのような仕切りがある。

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 D1.腕足ライン

 黒色頁岩層より含まれる化石は大分少ないようだが、Acanthopyge .Kettneraspis sp. が産出している。二つとも既存のものより大分大きく何か新しいものの産出が期待できるラインだ。これまで、まだ手を付けられていないと思われる。まだこの露頭を試してはいないのだがこの露頭からと思われる転石から下の化石を得ている。

 三葉虫

Toxophacops sp. 複眼は10列まで数えられる。列の数と複眼の立ち上がりの角度からするとnonakaiになるのか?ただ、レンズの配列が違う。今まで見てきた配列は前後方向に1列ごとに半分ずれていき、一番下の列はジグザグに並び、斜め方向のクロスでとらえた方がすっきりと見えていた。このように水平方向にきれいに並んだ配列は見たことがない。3個とも同じ石から出てきたものだが右側の尾部は形状が違う。側葉の端部の巻き込みがなく周縁があるので不明種。

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腕足類

同じ転石に入っていたもの。左はKymatothyris?、中央と右は上の不明種2とおなじものか?

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このページも追加、修正しながらまとめていくこととする。



 

論文を少し読んでみた。この地の層準とファコの複眼。

 今までこの地域の論文をまともに読んでいなかったがここにきて少しではあるが見るようになった。何しろ山に行けてないので…。去年の暮れだったかボヘミやんにとある論文をもらった。その論文を見るとなるほどと思われることがたくさん書かれている。D1も書かれているし、D2近辺の林道終点あたりの掘られた穴、大量に叩かれた石のあるD6斜面の崩落個所と付属するように並ぶ腕足ポイント、ここが、かの49bedと呼ばれる黒色頁岩の延長ではないかと思われたポイント、埋め戻されている?と思われた稜線ポイント、それからD9を見つけたことですべてのポイントを見直す必要がある思ったことを裏付ける記述もある。何よりも重要なのは、すでにOM側とH沢側の層準をOM側の三葉虫の標本の同定によってピンポイントで決定されいることである。まさに決定的な標本と言えよう。この標本ほど何処のどのポイントで出たのかが重要になる標本はないように思う。そしてこの論文には各層の層準とどこがどこに繋がっているかと、その堆積環境の考察まで書いてある。唯一「デボンの森」の層準を保留にしているのは黒色石灰質頁岩層の上位なのか下位なのかを判断する材料がなかったなかったためだと思われる。

 私はこれまで唯一同じ層と思われるD1、D2、D3をひとつの基準になるとと考えていた。この層に特有と思われるファコプスがあるためだ。この論文によるとこの層は黒色石灰質頁岩層にあたる。そして「デボンの森」と「H沢デボン」はこの層の上位になるのだろうと思っていた。しかし19年9月にD8を見つけたことで「デボンの森」がその下位になる可能性が出てきた。「デボンの森」とH沢デボンの当事者であるボヘミやんの印象では違う層に思えるということであったため「H沢デボン」はこの層の上位になる可能性もあると思っていたがこの論文によるとそれもないことになる。両者とも黒色石灰質頁岩層の下位で距離もそれほど離れてはいないところを見るとほぼほぼ同じ層準ということになるかもしれない。私が今取り組んでいるのはこの論文の検証と続きということになる.大変おこがましいのだが…。H沢デボンがOM側の黒色頁岩の下位⁉ ということは…。いろいろと妄想が広がる。それはそれで面白い展開になる。いずれにしろいまだ空白部分もあり、それぞれのポイントの最下部と最上部を確かめようとするならばまだ調査が必要だし楽しめる余地は十分あると思われる。この地域の外側にもデボン紀の地層は広く分布していてすでにいくつかのこの地域の延長と思われるポイントが確認されているがまだまだそれらを見に行く状況ではない。

 それからこの論文でやっとオカノイとノナカイの違いが見えてきた。そしてD1D2タイプのファコが Phacopidae sp. A と記述されていること。この記述はファコプスの仲間という意味でまだ名前がないってことだろうか?この三葉虫の複眼について個々のレンズが沈み込んで見えると書いてあり疑問に思っていた。私が見てきた内型雄型の形状は筒状の先端にレンズがついているように見えたためである。雌型から型取りしたレプリカの形状か?と思いやってみた。

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なるほど納得である。特に左、大きいほどその形状になるのかも知れない。左からD1D2、とある沢である。ボヘミやんにもらったブルーミックスを使ってみた。こうして見ると頭鞍のブツブツが激しいのがよくわかる。まるでゴーヤのようだ。このブツブツがきっちり左右対称に並んでたりするとビックリだがどうであろう?結構楽しい。ちなみに先日歯医者で使うあのピンク色のやつも試してみた。アルギン酸何とか、イチゴ味。粘土状で使いやすく固まるとゴム状、そこそこ取れたが2,3日したら3割ほど縮んでカチカチになっていた。要するに型を取って石膏とかを流し込み元の形のレプリカを取るためのもののようだ。はずしてすぐに写真を撮れば上のような使い方もできそうだ。イチゴと言えば、上の写真の複眼、イチゴとそっくりだ。ゴーヤの頭鞍にイチゴ形の複眼って論文に使えない?あ~もうゴーヤの隣にイチゴが並んでいるー。

 話が大分それてしまった。2月にこのブログを公開した時にある方から九州産の新しい三葉虫がこの三葉虫に似ていると2018年の論文をいただいた。確かによく似ているがこの論文の中にも Phacopidae sp. A の記述がありToxophacops (Atopophacops) fujiwaraという新しい三葉虫は別のものとしているようだ。時代的にもジベティアンにされている。それから上記のの論文にも九州の記述がありPhacopidae sp. Aを含め中里層と同じ地層だとしている。ただ、このT. fujiwaraという三葉虫にしてもノナカイやオカノイと大分形状が違うようだが同じToxophacops の仲間になるのか?と思ってしまった。名前の付け方も知らないのだが…。ここでこの論文を持ち出したのは、種を決定するうえで、上記の論文も含めやはり複眼のレンズ配列を重視しているためだ。この論文には北上と九州とモンゴルのこの時期のファコプス各種のレンズ配列が表になっていて分かりやすい。モンゴルとの関連性は当時の位置関係からもはや常識のように書かれているため論文を見てみたいと思っているが未だに見れていない。私がこの地域のあちこちで見てきたファコプスの複眼を全部数えたわけではないが結構なばらつきがあったと思う。なかには6列というのもあった。レンズの数だけではなく、複眼の形状や角度なども違和感を感じている。その辺も追々見ていければと思う。何しろファコプスはおろか「三葉虫」枠で放り込んだままだったりしている。

D4の腕足類を見てみる

 D4は19年1月に見つけたポイントで、主にファコプスと腕足類を産出する。ほかの化石は極端に少なく、まれに単体サンゴ、ロストロコンクが2個体出ている。化石の頻度は少ないが岩の粒子は細かく保存は良好である。少ないと言っても、ファコプスの産出はここが最も多く、そのことからもやはり特殊なポイントといえるかもしれない。腕足類は所々で集まって出てくる傾向があるように思われる。中には殻の両側がそのまま残されたものもあるが、殻の石灰分が溶けてなくなったものの中身は非常にもろく、母岩の風化がそれほど進んでいなくとも割って取り出そうとするとほとんど壊れてしまうのが残念だ。ここで出た腕足類も目ぼしいものはそこそこ持ち帰っている。それらを見てみる。

 田沢純一氏の論文にある中里層の腕足類は22属22種とある。論文の中で産出量の多い順に並べ、D4から産出したものをざっくりと振り分けてみた。22種のうち図版があるものが16種。D4では今のところ13か14種があるように思われ、その中で6種が振り分けられて、不明種が10種であった。

1.Kymatothyris vandercammeni(Minato and Kato)

 やはりこの種が大きさ産出量の多さからしても一番目立つ。

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2.Frankiella sp 大体のの形状と蝶番部の一点から放射状に細かい溝がある点で共通だが、溝の数と深さが少し足りなく見える。違うものかもしれない。

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3. Kayseria lens(Phillips) ファコプス頭鞍雌型の裏に半分見えている。これがそうではないかと思う。D4ではこの一個体だけだ。

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4.Elytha fimbriatus

5.Levenea wotuoshanensis, Zhang

  どちら側の殻なのか?殻の内側の形状になる。奇妙な形だ。殻の表側は全然違う形のようだがまだ標本はない。

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6.Hystorolites  uniplicatus Zhang

7. Devonaria  boonensis, 

8. Carinatina? 

9. Planatrypa  japonica,

10 Navispira  dorsosulcata(Okubo)

 腹殻蝶番部の形状が特徴的。とりあえずここに入れておく。3個体。

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11.Meristina sp.

12. Howellella? sp. Kymatothyris vandercammeniに振り分けて保留にしていたもの。カルサス部の外側の溝が明瞭なことと腹殻蝶番部の張り出しが強く見える。 Howellellaで検索してみるとオーストラリアのシルル紀の腕足の文献によく似たものがある。これは属名になるのか?シルル紀ではあるが名前が同じなのでここに入れておく。6個体

https://www.researchgate.net/publication/335136022_Silurian_Wenlock_brachiopods_from_the_Quidong_district_southeastern_New_South_Wales_Australia

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13.Leptaena  analogaeformis  Biernat

15.    Malurostrophia sugiyamai n. sp.
16. Zdimir? sp

19.   Leptostrophia gracila Zhang

図版なし6種類

14.    Maoristrophia subquadrata n. sp

17.   Schuchertella? sp

18.   Cymostrophia.sp

20.   Camarotoechia? sp

21.  Eifelatrypa? sp

22.   Coelospira dorsosulcata(Okubo)

不明1 腹殻蝶番部分の張り出しがくちばし状で特徴的。

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不明2 石炭紀ペルム紀にもありそうなプロダクタスの仲間?

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不明3 腹殻が極端に深く背殻は平たんで蓋のようになっている。特徴ある形で興味深い。W3から4ミリと小さいのだが保存良好で細部まで確認できそうだ。

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不明4 左の二つ重なったものも不明種3の腹殻と思われ、右はこの石の裏についていて大きさがほぼ同じためこの種の背殻かと思ったが、台形をした不明種3の背殻とは形状が違うようだ。じゃあこれは何?ということで不明4。Leveneaの幼体かも知れない。

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不明5 背殻が大きく三つに分かれ、腹殻はペルム紀のカマロホリアのようだ。蝶番部分が欠けている。W12ミリ。下段はW7ミリ、同じものか?

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不明6

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不明7 このタイプで横長の形状から Malurostrophiaかと思われたが蝶番部に何やら特徴的な形があるのに対しこれにはない。また、これにあるような放射状の模様が Malurostrophiaの図版からは確認できないので不明種。

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不明8 Frankiellaでも Leptostrophiaでもない。

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不明9 Frankiella spにいれておいたが中央部に明瞭なでっぱりがあり(カルサス?)そのためアウトラインの形状も変わっているので不明種。

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不明10 W9ミリと小さいのだが保存は良い。殻は深く、周縁部は背殻側に巻き込んで見え、成長に伴うものであろう円周方向の模様が見える。

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二枚貝

Modiomorpha subalata? 1950年の大久保氏のこの地の論文にH沢デボンの産出化石の記述がある。形状が似ているのでこれにしておく。

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ロストロコンク(吻殻類)

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  16種の図版と6種の名前の記載であったが、振り分けられたものは6種にとどまった。そのうち半数は定かではない。Kymatothyris、Levenea、 Kayseriaまでであろうか?他の画像も探してみたが、名前は出てくるが画像までは辿り着かない。論文のもとになったクロンボラ沢とのラインの違いも考えられる。であれば腕足類の産出分布も層の識別に使えるかもしれない。関連が記述されている内蒙古西部の文献も見てみたいところだ。不明種が10種類と多いのだが今のところこれが限界。