象のしっぽを追っかける

Tの化石採集日記

D4の腕足類を見てみる

 D4は19年1月に見つけたポイントで、主にファコプスと腕足類を産出する。ほかの化石は極端に少なく、まれに単体サンゴ、ロストロコンクが2個体出ている。化石の頻度は少ないが岩の粒子は細かく保存は良好である。少ないと言っても、ファコプスの産出はここが最も多く、そのことからもやはり特殊なポイントといえるかもしれない。腕足類は所々で集まって出てくる傾向があるように思われる。中には殻の両側がそのまま残されたものもあるが、殻の石灰分が溶けてなくなったものの中身は非常にもろく、母岩の風化がそれほど進んでいなくとも割って取り出そうとするとほとんど壊れてしまうのが残念だ。ここで出た腕足類も目ぼしいものはそこそこ持ち帰っている。それらを見てみる。

 田沢純一氏の論文にある中里層の腕足類は22属22種とある。論文の中で産出量の多い順に並べ、D4から産出したものをざっくりと振り分けてみた。22種のうち図版があるものが16種。D4では今のところ13か14種があるように思われ、その中で6種が振り分けられて、不明種が10種であった。

1.Kymatothyris vandercammeni(Minato and Kato)

 やはりこの種が大きさ産出量の多さからしても一番目立つ。

f:id:kyte55712:20200506223913j:plain
f:id:kyte55712:20200506223858j:plain
f:id:kyte55712:20200506223844j:plain
f:id:kyte55712:20200506223829j:plain
f:id:kyte55712:20200506223928j:plain
f:id:kyte55712:20200506224908j:plain
f:id:kyte55712:20200506223942j:plain
f:id:kyte55712:20200506223420j:plain
f:id:kyte55712:20200506231043j:plain
f:id:kyte55712:20200506231029j:plain
f:id:kyte55712:20200506230946j:plain
f:id:kyte55712:20200506230931j:plain
f:id:kyte55712:20200516223225j:plain
f:id:kyte55712:20200516223211j:plain
f:id:kyte55712:20200516223113j:plain
f:id:kyte55712:20200516223059j:plain
f:id:kyte55712:20200516223042j:plain
f:id:kyte55712:20200516223126j:plain
f:id:kyte55712:20200516223002j:plain
f:id:kyte55712:20200516222949j:plain
f:id:kyte55712:20200516222432j:plain
f:id:kyte55712:20200516222345j:plain
f:id:kyte55712:20200516222419j:plain
f:id:kyte55712:20200516222615j:plain

 

2.Frankiella sp 大体のの形状と蝶番部の一点から放射状に細かい溝がある点で共通だが、溝の数と深さが少し足りなく見える。違うものかもしれない。

f:id:kyte55712:20200506223549j:plain
f:id:kyte55712:20200506223534j:plain
f:id:kyte55712:20200506223520j:plain



3. Kayseria lens(Phillips) ファコプス頭鞍雌型の裏に半分見えている。これがそうではないかと思う。D4ではこの一個体だけだ。

f:id:kyte55712:20200516224003j:plain
f:id:kyte55712:20200516222748j:plain
f:id:kyte55712:20200516222727j:plain

4.Elytha fimbriatus

5.Levenea wotuoshanensis, Zhang

  どちら側の殻なのか?殻の内側の形状になる。奇妙な形だ。殻の表側は全然違う形のようだがまだ標本はない。

f:id:kyte55712:20200513072028j:plain
f:id:kyte55712:20200506224431j:plain
f:id:kyte55712:20200506224417j:plain
f:id:kyte55712:20200513071501j:plain
f:id:kyte55712:20200513071447j:plain
f:id:kyte55712:20200516222700j:plain
f:id:kyte55712:20200516222714j:plain


6.Hystorolites  uniplicatus Zhang

7. Devonaria  boonensis, 

8. Carinatina? 

9. Planatrypa  japonica,

10 Navispira  dorsosulcata(Okubo)

 腹殻蝶番部の形状が特徴的。とりあえずここに入れておく。3個体。

f:id:kyte55712:20200506224400j:plain
f:id:kyte55712:20200506224347j:plain
f:id:kyte55712:20200506224326j:plain
f:id:kyte55712:20200506224312j:plain
f:id:kyte55712:20200506224257j:plain
f:id:kyte55712:20200506224243j:plain
f:id:kyte55712:20200506224229j:plain
f:id:kyte55712:20200506224215j:plain
f:id:kyte55712:20200513071632j:plain
f:id:kyte55712:20200513071645j:plain
f:id:kyte55712:20200513071619j:plain
f:id:kyte55712:20200513071605j:plain
f:id:kyte55712:20200513071746j:plain
f:id:kyte55712:20200513071734j:plain
f:id:kyte55712:20200513071709j:plain
f:id:kyte55712:20200513071657j:plain


11.Meristina sp.

12. Howellella? sp. Kymatothyris vandercammeniに振り分けて保留にしていたもの。カルサス部の外側の溝が明瞭なことと腹殻蝶番部の張り出しが強く見える。 Howellellaで検索してみるとオーストラリアのシルル紀の腕足の文献によく似たものがある。これは属名になるのか?シルル紀ではあるが名前が同じなのでここに入れておく。6個体

https://www.researchgate.net/publication/335136022_Silurian_Wenlock_brachiopods_from_the_Quidong_district_southeastern_New_South_Wales_Australia

f:id:kyte55712:20200506224150j:plain
f:id:kyte55712:20200506224136j:plain
f:id:kyte55712:20200506224123j:plain
f:id:kyte55712:20200506224109j:plain
f:id:kyte55712:20200506224030j:plain
f:id:kyte55712:20200506224056j:plain
f:id:kyte55712:20200506224042j:plain
f:id:kyte55712:20200506224002j:plain
f:id:kyte55712:20200516224017j:plain
f:id:kyte55712:20200516223255j:plain
f:id:kyte55712:20200516223240j:plain
f:id:kyte55712:20200516222458j:plain

13.Leptaena  analogaeformis  Biernat

15.    Malurostrophia sugiyamai n. sp.
16. Zdimir? sp

19.   Leptostrophia gracila Zhang

図版なし6種類

14.    Maoristrophia subquadrata n. sp

17.   Schuchertella? sp

18.   Cymostrophia.sp

20.   Camarotoechia? sp

21.  Eifelatrypa? sp

22.   Coelospira dorsosulcata(Okubo)

不明1 腹殻蝶番部分の張り出しがくちばし状で特徴的。

f:id:kyte55712:20200506224458j:plain
f:id:kyte55712:20200506224527j:plain
f:id:kyte55712:20200506224513j:plain

不明2 石炭紀ペルム紀にもありそうなプロダクタスの仲間?

f:id:kyte55712:20200506224826j:plain
f:id:kyte55712:20200506224841j:plain
f:id:kyte55712:20200506224855j:plain

不明3 腹殻が極端に深く背殻は平たんで蓋のようになっている。特徴ある形で興味深い。W3から4ミリと小さいのだが保存良好で細部まで確認できそうだ。

f:id:kyte55712:20200506224541j:plain
f:id:kyte55712:20200506224759j:plain
f:id:kyte55712:20200506224744j:plain
f:id:kyte55712:20200506224713j:plain
f:id:kyte55712:20200506224658j:plain
f:id:kyte55712:20200506224638j:plain
f:id:kyte55712:20200506224622j:plain
f:id:kyte55712:20200506224555j:plain
 
f:id:kyte55712:20200516223718j:plain
f:id:kyte55712:20200516223649j:plain
f:id:kyte55712:20200516223634j:plain
f:id:kyte55712:20200516223619j:plain
f:id:kyte55712:20200516223606j:plain
f:id:kyte55712:20200516223537j:plain
f:id:kyte55712:20200516223525j:plain
f:id:kyte55712:20200516223514j:plain
f:id:kyte55712:20200516223411j:plain
f:id:kyte55712:20200516223345j:plain
f:id:kyte55712:20200516223949j:plain
f:id:kyte55712:20200516223922j:plain

 

不明4 左の二つ重なったものも不明種3の腹殻と思われ、右はこの石の裏についていて大きさがほぼ同じためこの種の背殻かと思ったが、台形をした不明種3の背殻とは形状が違うようだ。じゃあこれは何?ということで不明4。Leveneaの幼体かも知れない。

f:id:kyte55712:20200513071348j:plain
f:id:kyte55712:20200513071400j:plain
f:id:kyte55712:20200513205659j:plain

 

不明5 背殻が大きく三つに分かれ、腹殻はペルム紀のカマロホリアのようだ。蝶番部分が欠けている。W12ミリ。下段はW7ミリ、同じものか?

f:id:kyte55712:20200513071908j:plain
f:id:kyte55712:20200513071920j:plain
f:id:kyte55712:20200513071946j:plain
f:id:kyte55712:20200513072001j:plain
f:id:kyte55712:20200513072015j:plain
f:id:kyte55712:20200516222841j:plain
f:id:kyte55712:20200516222801j:plain
f:id:kyte55712:20200516222854j:plain
f:id:kyte55712:20200516222935j:plain
f:id:kyte55712:20200516222906j:plain

 

不明6

f:id:kyte55712:20200513072041j:plain
f:id:kyte55712:20200513072054j:plain
f:id:kyte55712:20200513071323j:plain

 

不明7 このタイプで横長の形状から Malurostrophiaかと思われたが蝶番部に何やら特徴的な形があるのに対しこれにはない。また、これにあるような放射状の模様が Malurostrophiaの図版からは確認できないので不明種。

f:id:kyte55712:20200506225446j:plain
f:id:kyte55712:20200506225429j:plain
f:id:kyte55712:20200506225335j:plain
f:id:kyte55712:20200506225404j:plain
f:id:kyte55712:20200506225418j:plain
f:id:kyte55712:20200506225513j:plain

 

不明8 Frankiellaでも Leptostrophiaでもない。

f:id:kyte55712:20200506231215j:plain
f:id:kyte55712:20200506231201j:plain

 

不明9 Frankiella spにいれておいたが中央部に明瞭なでっぱりがあり(カルサス?)そのためアウトラインの形状も変わっているので不明種。

f:id:kyte55712:20200513071435j:plain
f:id:kyte55712:20200513071424j:plain
f:id:kyte55712:20200513071412j:plain

 

不明10 W9ミリと小さいのだが保存は良い。殻は深く、周縁部は背殻側に巻き込んで見え、成長に伴うものであろう円周方向の模様が見える。

f:id:kyte55712:20200506223737j:plain
f:id:kyte55712:20200506223723j:plain
f:id:kyte55712:20200506223653j:plain
f:id:kyte55712:20200506223636j:plain
f:id:kyte55712:20200506223620j:plain

 

二枚貝

Modiomorpha subalata? 1950年の大久保氏のこの地の論文にH沢デボンの産出化石の記述がある。形状が似ているのでこれにしておく。

f:id:kyte55712:20200506225319j:plain
f:id:kyte55712:20200506225306j:plain
f:id:kyte55712:20200506225252j:plain

ロストロコンク(吻殻類)

f:id:kyte55712:20200506225235j:plain


  16種の図版と6種の名前の記載であったが、振り分けられたものは6種にとどまった。そのうち半数は定かではない。Kymatothyris、Levenea、 Kayseriaまでであろうか?他の画像も探してみたが、名前は出てくるが画像までは辿り着かない。論文のもとになったクロンボラ沢とのラインの違いも考えられる。であれば腕足類の産出分布も層の識別に使えるかもしれない。関連が記述されている内蒙古西部の文献も見てみたいところだ。不明種が10種類と多いのだが今のところこれが限界。