象のしっぽを追っかける

Tの化石採集日記

論文を少し読んでみた。この地の層準とファコの複眼。

 今までこの地域の論文をまともに読んでいなかったがここにきて少しではあるが見るようになった。何しろ山に行けてないので…。去年の暮れだったかボヘミやんにとある論文をもらった。その論文を見るとなるほどと思われることがたくさん書かれている。D1も書かれているし、D2近辺の林道終点あたりの掘られた穴、大量に叩かれた石のあるD6斜面の崩落個所と付属するように並ぶ腕足ポイント、ここが、かの49bedと呼ばれる黒色頁岩の延長ではないかと思われたポイント、埋め戻されている?と思われた稜線ポイント、それからD9を見つけたことですべてのポイントを見直す必要がある思ったことを裏付ける記述もある。何よりも重要なのは、すでにOM側とH沢側の層準をOM側の三葉虫の標本の同定によってピンポイントで決定されいることである。まさに決定的な標本と言えよう。この標本ほど何処のどのポイントで出たのかが重要になる標本はないように思う。そしてこの論文には各層の層準とどこがどこに繋がっているかと、その堆積環境の考察まで書いてある。唯一「デボンの森」の層準を保留にしているのは黒色石灰質頁岩層の上位なのか下位なのかを判断する材料がなかったなかったためだと思われる。

 私はこれまで唯一同じ層と思われるD1、D2、D3をひとつの基準になるとと考えていた。この層に特有と思われるファコプスがあるためだ。この論文によるとこの層は黒色石灰質頁岩層にあたる。そして「デボンの森」と「H沢デボン」はこの層の上位になるのだろうと思っていた。しかし19年9月にD8を見つけたことで「デボンの森」がその下位になる可能性が出てきた。「デボンの森」とH沢デボンの当事者であるボヘミやんの印象では違う層に思えるということであったため「H沢デボン」はこの層の上位になる可能性もあると思っていたがこの論文によるとそれもないことになる。両者とも黒色石灰質頁岩層の下位で距離もそれほど離れてはいないところを見るとほぼほぼ同じ層準ということになるかもしれない。私が今取り組んでいるのはこの論文の検証と続きということになる.大変おこがましいのだが…。H沢デボンがOM側の黒色頁岩の下位⁉ ということは…。いろいろと妄想が広がる。それはそれで面白い展開になる。いずれにしろいまだ空白部分もあり、それぞれのポイントの最下部と最上部を確かめようとするならばまだ調査が必要だし楽しめる余地は十分あると思われる。この地域の外側にもデボン紀の地層は広く分布していてすでにいくつかのこの地域の延長と思われるポイントが確認されているがまだまだそれらを見に行く状況ではない。

 それからこの論文でやっとオカノイとノナカイの違いが見えてきた。そしてD1D2タイプのファコが Phacopidae sp. A と記述されていること。この記述はファコプスの仲間という意味でまだ名前がないってことだろうか?この三葉虫の複眼について個々のレンズが沈み込んで見えると書いてあり疑問に思っていた。私が見てきた内型雄型の形状は筒状の先端にレンズがついているように見えたためである。雌型から型取りしたレプリカの形状か?と思いやってみた。

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なるほど納得である。特に左、大きいほどその形状になるのかも知れない。左からD1D2、とある沢である。ボヘミやんにもらったブルーミックスを使ってみた。こうして見ると頭鞍のブツブツが激しいのがよくわかる。まるでゴーヤのようだ。このブツブツがきっちり左右対称に並んでたりするとビックリだがどうであろう?結構楽しい。ちなみに先日歯医者で使うあのピンク色のやつも試してみた。アルギン酸何とか、イチゴ味。粘土状で使いやすく固まるとゴム状、そこそこ取れたが2,3日したら3割ほど縮んでカチカチになっていた。要するに型を取って石膏とかを流し込み元の形のレプリカを取るためのもののようだ。はずしてすぐに写真を撮れば上のような使い方もできそうだ。イチゴと言えば、上の写真の複眼、イチゴとそっくりだ。ゴーヤの頭鞍にイチゴ形の複眼って論文に使えない?あ~もうゴーヤの隣にイチゴが並んでいるー。

 話が大分それてしまった。2月にこのブログを公開した時にある方から九州産の新しい三葉虫がこの三葉虫に似ていると2018年の論文をいただいた。確かによく似ているがこの論文の中にも Phacopidae sp. A の記述がありToxophacops (Atopophacops) fujiwaraという新しい三葉虫は別のものとしているようだ。時代的にもジベティアンにされている。それから上記のの論文にも九州の記述がありPhacopidae sp. Aを含め中里層と同じ地層だとしている。ただ、このT. fujiwaraという三葉虫にしてもノナカイやオカノイと大分形状が違うようだが同じToxophacops の仲間になるのか?と思ってしまった。名前の付け方も知らないのだが…。ここでこの論文を持ち出したのは、種を決定するうえで、上記の論文も含めやはり複眼のレンズ配列を重視しているためだ。この論文には北上と九州とモンゴルのこの時期のファコプス各種のレンズ配列が表になっていて分かりやすい。モンゴルとの関連性は当時の位置関係からもはや常識のように書かれているため論文を見てみたいと思っているが未だに見れていない。私がこの地域のあちこちで見てきたファコプスの複眼を全部数えたわけではないが結構なばらつきがあったと思う。なかには6列というのもあった。レンズの数だけではなく、複眼の形状や角度なども違和感を感じている。その辺も追々見ていければと思う。何しろファコプスはおろか「三葉虫」枠で放り込んだままだったりしている。